長いビーチが無防備にその美しい砂の色をさらけだし、海は遠くへ消え入るように連なっている。静まりきったその砂浜は対岸から流れてくる潮風の音と打ち寄せる波のしぶきと混ざりあいオレンジ色の舞台照明のように海岸を照らしていた。
熱いほど熱を帯びた砂は少しだけ冷えつつあり、表面の熱された砂だけを少し避け冷たく湿り気のある砂に腰を下ろす。今にも溺れそうな夕日をシルエットに彼は毛づくろいをしていた。
これはある一匹の猫の物語。
僕の名前はよこもじニャ!
ご主人様がお出かけするというのでついて行くニャ。ふふっふ~のにゃふっふ~♪何処へいくのかにゃ?♪なんせご主人様とお出かけするのはにゃんと5年ぶりにゃ!5年っていったらそれはもう色々あったにゃ〜。ガッキーにゃ!!この5年の間にガッキーは結婚してしまったにゃぁぁぁあああ!!このボクという猫が居ながらいったいどーいうことにゃ!?そんなお知らせを聞いた後はもうシラフじゃいれなかったにゃ!もう毎日!毎〜日マタタビ漬けだったにゃ!マタタビ持ってこいにゃマタタビー!!って荒れていたにゃ〜。にゃ〜ぁ…ガッキーの太ももの上でゴロゴロしてたのを忘れられないにゃぁ…(妄想) マタタビと言えば去年の秋に取れたマタタビは最高だったにゃぁぁぁ・・・そう!しこう!しこうのマタタビだったにゃ!そう、O・K・T・Hだったにゃ!お口の中でとろけるハーモニーだったにゃぁぁぁあああ!今でも思い出すとしっぽの付け根がもぞもぞするにゃぁぁああ
んにゃ!
そうそう、そんなご主人様と5年ぶりにお出かけしてくるにゃぁぁぁ♪
ジュレー島の断崖絶壁。鯨が潮を吹くように岩肌に激しい波が打ち寄せ飛沫を上げる。海水に岩色をむき出しにされぬかるんだ道を進む。その先にぽっかりと大きな口を開けた洞窟があった。
下へと続く長い階段。おそらく長年誰も通っていないだろうと思われるほど苔が階段を覆っていた。
_よこもじ、手を
(ご主人様はこーいう所が優しいにゃぁ~)
片方の手は固く握り、もう片方は洞窟の岩肌を手すり替わりに下へ下っていく。・・・どれくらい深く潜ったのだろう・・・。アストルティアの各地には深い洞窟がいくつも存在する。その洞窟は地中深くで蜘蛛の巣のように各所繋がっており、さらに奥深く、光も音も何もかもが届かない場所に楽園アビスがあると冒険者の間で噂されていたが、それを見て帰って来た者は居ない。
遠くでぼんやりと火が灯っているのが見える「出口にゃ!」
「ごしゅじん様?ここはいったいどこかにゃ?」
・・・ここは”怪蟲アラグネの巣だよ。
「!アラグネにゃ!?あの蜘蛛のオバケみたいないなやつにゃ!?」こまちぉは頷く。「そ、そんな怪物に何か用かにゃ!?ボクはここで待ってるにゃ!ボクはここで待ってるにゃぁ!」
_よこもじ、君の助けが必要なんだ。
「無理にゃ!無理にゃ!」
_どうしても?
「ご主人様のお願いでも絶対に無理にゃあああ!!」
_後でマタタビあげるから!
「よっしゃ行くにゃぁぁぁああああ!!!」
・・・ボクだってこの5年間何もしてなかった訳じゃ無いにゃ。てんせーを何回もして強くなったにゃ!にゃるぷんてにメラゾーマ、ベホマラーだって使えるようになったにゃ!
_頼りにしてるよ、よこもじ
「頑張るにゃあああ!!」
戦いが始まる
押し寄せる怪蟲アラグネ。薄暗く良く見えないが奥の天井には太く大きな繭がぶら下がっている。おそらくその中身は冒険者・・・。捕まれば終わり。その繭に捕まると身動きが取れなくなり生かされながら少しずつ栄養を取られ続ける、死なないように最後の一滴まで・・・。
こまちぉは戦いが始まるとよこもじの前へ出る。追い寄せる魔物。「ご主人様!キケンにゃ!下がってにゃ!」そんなよこもじの言葉を背に少しだけ後ろを見てほほ笑む。そして前を見て唱えた
_クイックアーツ・・・。体が朱色のオーラに包まれる。
_これはねよこもじ、すてみの進化スキルで攻撃力と素早さが倍になり今までのすてみと違って防御ダウンの効果は無い言わばチートスキルさ。「すごいにゃ!ご主人様すごいにゃぁ!勝てる…絶対勝てるにゃああ!!!」
んだめだったにゃあああああ!!!!
・・・いつか・・海の見える家で・・・
その時どこからか声が聞こえた
貴方を助けます
光に包まれたこまちぉとよこもじは息を吹き返した。
「助かったにゃ!あなたはいったい誰にゃ!?」
・・・我は・・・おかんの妖精・・・
おかんの妖精シーナル!!(※サポ
・・・そしておかんの妖精は消えていった
「ありがとうにゃ・・・おかんの妖精・・・」
ポチっとにゃぁぁぁぁああああ!!!
「マタタビにゃああああああww」