悲しいほど頑丈な冷たくも長い石造りの廊下が暗闇に包まれている。
蝋燭の芯がジジジ…と小さな音を立てて小さい炎を微かに揺らす。同時に影は小刻みに踊っているかのような動きをつける。
「来たか。酔拳の使い手…ガラドリエルよ。」
アリクーディ姫の声が闇夜の廊下に響き渡る。
酔拳の予期せぬ動きには、どんなに武道を極めた者でも戦意を失いこう言う「もう二度と戦いたくない…」
酔拳という名前は広く知れ渡っているが、生粋の酔拳使いは極少数だった。
「お久しぶりです。姫様。」
酔拳使いとは思えない程澄んだ声だった。
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