姫と天狗と酔拳使い
悲しいほど頑丈な冷たくも長い石造りの廊下が暗闇に包まれている。
蝋燭の芯がジジジ…と小さな音を立てて小さい炎を微かに揺らす。同時に影は小刻みに踊っているかのような動きをつける。
アリクーディ姫の声が闇夜の廊下に響き渡る。
酔拳の予期せぬ動きには、どんなに武道を極めた者でも戦意を失いこう言う「もう二度と戦いたくない…」
酔拳という名前は広く知れ渡っているが、生粋の酔拳使いは極少数だった。
「お久しぶりです。姫様。」
酔拳使いとは思えない程澄んだ声だった。
「戦況は実に困難な方向に傾いた今、あるモンスターを倒す命令が出たのだ。…こんな時あのバカが居ればいいのだが…。そこで酔拳使いの力を借りたくソナタを呼んだのじゃ。」
姫が言った「あのバカ」は誰の事か理解した。愛情の裏返しと思い嬉しくなった。その事には触れないでおこう。ガラドリエルはそう思った。
「それは勿体無きお言葉でございます。…して、そのモンスターとは…?」
「……レグナード。」
隙間風が吹き、揺れる蝋燭の灯りが姫の顔の半分を照らす。
「そ…!いや…、いくら姫様直々の頼みでも敵が悪すぎます…!」
フフっと姫が薄笑いを浮かべる。
「天狗も連れて参れ!」
熱を帯びた姫の声が暗闇を突き抜ける。カリスマ性のある声というのは、まるで乾いた砂地に水滴を垂らした時のように、心の切れ端に急激に吸収され突き刺さる。姫の声もそんな特徴があるのだろう。
「天狗は人の心を操ると言います!それはあまりにも危険では…え…!?」
その時どこからともなく笑い声が響き渡る。
「ひょーっひょっひょっひょ!ひょーひょっひょっひょ!」
わざとらしい笑い声ではあるが天狗がそこに居た。姫はこの事を予期していたかの様で天狗に近づく。
「…丁度良い。高位妖怪の天狗である貴様の力を借りたい!」
「ひょーっひょっひょっひょ!ひょーっひょっひょっひょ!」
「一緒にレグナード討伐に向かおうぞ!」
「ひょーっひょっひょっひょ!ひょーっひょっひょっひょ!」
「…貴様!バカにしているのか!?」
姫は剣を抜き天狗の顔に突きつける。
緊張が走る。
ガラドリエルはあまりに急な展開に唖然と見つめる。
「ふふふ…。さすが姫。その気迫は昔より鋭さを増したようじゃな。」
天狗のお面の隙間からエルフ女の顔が見える。
「貴様なぜ私を!っ…!そうか…そういうことか!」
姫は剣を収める
「フフ…よかろう!天狗と私と酔拳使いでレグナード討伐に向かおうではないか!」
死闘が幕を開ける…!
酔拳使い「姫!作戦を伝えます。」
天狗「ひょーっひょっひょっひょ青い!実に青い果実なことだ。だてに酔拳使いの異名は持っとらんな。ひょーっひょっひょっひょ!。」
「レグナードよ…貴様今日はあまり強くないらしいじゃないか…。」
「グルルルル(イジメないでー)」
「ふふふレグナードよ…この世の輪廻転生がある事を…貴様で証明してみせる…!!」
「グルルルル!(助けて!)」
死にました!
死にました!
酔拳使い「もう一度作戦をお伝えします!」
酔拳使いが消えた。
あまりにも理不尽にガラドリエルは消えてしまった!
待ってる間いいキャラっぽいオーガの人と
「月が綺麗ですねー。」
「うむ。この洞窟内から見えないようでまったく見えない月こそ綺麗だ。」
「すごい哲学者みたいですねーうふふ。」
死にました!
また挑戦します!
ポチっとなぁぁあああ!!